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[No.96]こころ 投稿者:サッキー 投稿日:2005/06/10(Fri)-15:00
心は見えない
だけど、察するもの

心を伝えるために
人は形に表そうとする

形にされたその心を
くみとってゆく
そんなやさしさを 私は持ちたい

今年なり今年こそはとおもふなり
若き桜と咲き散るこの年
(芝崎 茂)

[No.95]捨て聖 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:59
鬼遊笑覧は「嬉遊笑覧」に音をいただいています。
そして、その思想も「嬉遊笑覧」に準じ、
「善き事聞くは学となり悪しき事聞くも戒めの学とす」です。
お書き込みいただいた雑文より新たな見識を得、
ちすの稚拙な雑文をお読みいただき悪例として戒める。

もう一つ鬼遊笑覧においてご配慮いただきたいこと。
それは「含羞」です。
ちすと同じ時にパソのディスプレイを見られている方がおられても、
誰かの雑文に同様の感銘を受けている方がおられても、
それは目の前の電脳の世界の中だけのことであり。
家族でも友達でもありえない。
それが電脳の掲示板であり、それが電脳の礼節であるとちすは考えています。
従いまして
鬼遊笑覧においてご挨拶・お声がけ・感想等は一切不要です。
何人も雑文を妨げる事無く、何人もかかわり合いを表にすることなかれ。

さて、
今回、「お声がけ」のお書き込みがありましたので削除をさせていただきました。

お書き込みの「自由」
自由とは自らが由とすることです。
鬼遊笑覧において由とされていない事をなさる自由は認めておりません。
いかなる雑文についてもありがたくいただく鬼遊笑覧ですが、
いかなる崇高な目的があろうともお声がけは削除させていただきます。

今後とも皆様からの雑文のご投稿をお待ちしております。

[No.93]スベスベマンジュウガニ 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:57
いゃあ、おったまげましたよ「スベスベマンジュウガニ」。
と、いきなりなんなんだの世界ですが、この妙な名前のカニの事をお聞きになった
事のある方はおられると思います。

ちすは子供の頃、「小学館こども動物図鑑」というのが愛読書
 <(どれくらい愛読していたかといいますと、常に持ち歩いていたために
   本そのものが崩壊してしまったというくらいなのですネ)
でして、その後半の3色刷り部分の「海辺の生き物」のところにあった、
「シオマネキ」と「スベスベマンジュウガニ」がお好みだったのです。
なんといっても強烈なのがこの「スベスベマンジュウガニ」ってお名前。
すべすべしたマンジュウみたいだから・・・
なんてストレートで安易な名前なんだ。
これってゴキブリに「チャクロビカリクツベラムシ」
とかって名前を付けるぐらいに安易だぞ。

とまぁ、人知れず(笑)「スベスベマンジュウガニ」の隠れファンだったちすなのですが、
昨日我が家のお子様の口ずさんでいる歌を聞いてびっくり
なんと♪「スベスベマンジュウガニー」♪って唄っている。
聞いてみると驚くべきことに、今「スベスベマンジュウガニ」がメジャーだと・・
お子様が口ずさんでいたのは、NHKの「みんなのうた」で唄われている
「恋のスベスベマンジュウガニ」って唄でした。
ぎょえーっ!!全国区じゃないかっっ!!
それもしかも「恋の」っすよ。ええいっ「スベスベマンジュウガニ」の分際で
「恋の」はないだろうっ!!
 <(「全国スベスベマンジュウガニの権利を守ろう連絡協議会」(ス権連)
   の方がおられたらゴメンなさい)

はっきり言って、スベスベマンジュウガニなんかに目をつけていたのは
ちすぐらいだと思っていたのに、
こんなに隠れスベスベマンジュウガニフェチがいたとは・・
うーみゅ、密かに抱え持っている
「ババヤスデ」とか
「イカリナマコ」とか
「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」とか
「タナカゲンゲ」「ババアゲンゲ」「ノロゲンゲ」のゲンゲ3兄弟などが
「みんなのうた」に奪われるのは時間の問題かもしれない・・
これは今のうちに先を制して歌を作っておかねば。

 ♪ゲッゲッ ゲンゲのゲーっ・・・♪

[No.92]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:57
<壱>
・・・年の瀬の料亭『喜田邨』ぶっ壊し事件からしばらく後の事である
   謙之助がいつものように南蛮月琴の手入れをしているところに
   諸之進が飛び込んできた・・・

 「おーい、謙之助居るかぁ」
 「居たくない・・・」
 「なんだよその言い草は。
  せっかく面白い仕事の話を持ってきてやったのによぉ、まぁ話ぐらい」
 「減るからヤだ」
 「ちょっとまてー、まだ『減るもんじゃなし』まで言ってないのに先回りしやがって。
  今回のはマトモだってば」
 「おいっ、今回のがマトモってこたぁやっぱ今までのは変だったじゃねぇかっ!
  この前の丹波笹山の猪場で猪相手に月琴を弾けってのなんて死ぬかと思ったぞ」
 「あぁ、あれネ。いや猪場の親父がシロートだからよ、『肉が柔らかくなる』
  って冗談で言ったら本気にしちゃって引っ込みがつかなくなっちまってヨ」
 「引っ込みつかないって、こっちゃ猪相手に命がけだったんだぞ」
 「まぁ、いいやな。おかげでいい猪肉をもらえたんだし」
 「もらえたって・・肉だったらな・・元気に走り回ってる
  仔猪を1匹もらってきてどうすんだ!
  結局始末ができないから裏庭にまだ居るんだぞっ!!」
 「いや、オヤジが言うには一年も育てて肉でさばけば一両にはなるって・・」
 「ほぉー、だれが肉にさばくんだよ。俺はヤだぜ」
 「うーみゅ。京惚れが上って来た時に頼むとかヨ。奴本業は馬医者だしよ」
 「ぜっていヤだっ!あいつこのまえもここで鶏さばいたのはいいけど、さばきながら
  腑分けの講義しやがったんだぜ。おかげでせっかくの鳥鍋を食う気が失せたんだから」

 「こんにちはぁ、謙之助サマおられますぅ・・げっ!なんでお便所コオロギまで居るの」
 「お便所コオロギじゃねぇ。あれにはちゃんとカマドウマって名前が・・・
  おいっ、誰がお便所コオロギだっ!!」
 「おや、おサキ殿どうされた」
 「お使い物のついでにお顔を拝見って思ってまいりましたの。
  まさかナマモノまで転がってるとは思いませんでしたけど」
 「ナマモノとはなんだナマモノとは。わしゃ取り忘れの青菜か、若狭下りの塩鯖かぁ」
 「ナマモノで悪けりゃ迷惑発生器よまったく。また謙之助サマに変なご依頼ごと
  拾ってきたんでしょまったく。ちょうどよかったわ、
  あたしもお目付けについていきますっ」
 「ついてくって・・おサキ殿。お店のほうはいいのかい?」
 「いいんですよ、うちの大旦那様ったら。
  手間ばっかりでお金にならない細工物ばかりに凝っちゃって。
  そんなもの扱うより、お江戸あたりから上ってくる田舎者相手に、錦の御旗の耳飾りや
  招き猫の根付でも作って売りつけているほうが儲かるのに、
  ぜんぜんそういう商売っ気がないんだから・・
  こんなんじゃ地道にお上り客をだまくらかして稼いでいるお店に負けちゃって当然です。
  やる気がなくなっちゃいますわ」
 「そうか・・物見遊山の客相手にまっとうな商売とはいけねぇなぁ・・」
   <(まったくいい根性している連中だな)
 「そうですよ。せんだっても私が売れ残りのとんぼ玉に手足を付けて新製品の
  鬼太郎の親父根付だといって売り出そうって申しあげたのにご反対なさるんですよ」
 「ふむふむ」<(それ、反対して正解だと思う)

 「・・・ぶにゃ・・・ぶぶ・ふーっ!!」

・・・なんだなんだ、いきなり変な声。
   話が全然進まないうちに第1回が終わっちゃった「燃えよ謙」
   まともに話はすすむのかな・・・

[No.91]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:56
<弐>
・・・いきなり変な声で終わった第1回。いったいなんの声なんだ・・・

 「・・・ぶにゃ・・・ぶぶ・ふーっ!!」
 「あら、リーちゃん。今日もご機嫌ねー。ナマモノにいじめられてなかったー?」
 「あ、いつの間に上がってきたんだこのクソ猪っ。なついてんじゃねぇっ!」
 「いいじゃなのっ、まだ子供なんだから、背中のシマも消えないうちに
  こんなところに連れてこられちゃってねぇ。おおきく育つんですよ」
 「おいおい、こいつは鍋にする予定なのっ!!
  確か年明けに京惚れの奴が馬の品評会とかってのでこっちに上ってくるから
  そんときに頼んでシめちまって鍋にすりゃぁいいんだ」
 「まっ、こんなかわいい仔を鍋にするなんて、ヒドイひとっ!!」
 「だいたい、なんだよそのリーちゃんってのは」
 「だってウリ坊でしょ。だからリーちゃん」
 「えぇい変な名前で呼ぶなよ。こんなのタンパク質で充分だ」
 「あ、それは可哀想。ナマモノにタンパク呼ばわりされることはないわよねー」
 「ぶぶ・ふひーっ!」
 「あ、こいつ俺の座布団の上にオシッコしやかった。てめぇ許さねぇっ!!
  絶対年明け早々に鍋にしちゃるっ!!」
 「まったく、なにウリ坊にからかわれてるんだよ。
  そんで、その仕事の話ってのはなんなんだ」
 「そうそう、すぐに行かなくっちゃ。これからおまいさんを連れて行くって
  先方を待たせてるんだから」
 「勝手なやつだなぁ、俺が家に居るとは限らないだろうが。
  ところで、依頼主っのはどんなやつなんだい」
 「ああ、堀川筋で町医者をやっている欄干橋虎屋藤右衛門円斎ってやつなんだがな・・」
 「なんだぁ、この前の奈良漬オヤジと張り合うようなややこしい名前だな。で、依頼事は?」
 「外郎だ」
 「あ?」
 「う・い・ろ・う!!」
 「ういろうだとぉーっ」

・・・京の厄介ごとが向こうから降ってくるような三人組(笑)
   で、今度は「ういろう」。いったい欄干橋虎屋藤右衛門円斎はういろうをどうしよう
   ってーの?と、ワケのわからないうちに次回に続く・・・

[No.90]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:55
<参>
・・・お便所コオロギじゃなかった諸之進が拾ってきた依頼仕事はういろう。
   やっぱり変なお仕事だった(笑)・・・
   
 「あら、ういろう好きですわ。白・黒・抹茶・小豆洗いにゆず沢庵ってやつでしょ」
 「そうそう、この沢庵味が・・・っって違うって。想像するだけで気持ち悪い味だぞ。
  そのういろうじゃなくって薬の外郎だ」
 「あぁ、『一粒飲めばお口すっきり』の方ね。なんだつまんない」
 「で、その外郎がどうしたんだ」
 「いや、なんでもその円斎センセがいうには間違ってとんでもないものが混じった外郎が
  洛中にでちまってるんだそうなんだ」
 「ふーん・・」
 「ま、どうせこんなところで月琴いじくっているんだからヒマなんだろ。
  話ぐらい聞きに行こうや」

・・・と、そんなこんだで堀川筋まで出かけることにした三人だった・・・

 「そこもとが洛中諸処難件解決業の北村謙之助殿でございますか。
  某は高麗橋赤壁源衛門周庵が門下にて内道にて俸を戴きおります
  欄干橋虎屋藤右衛門円斎と申すもの。この度はご足労を賜り
  感謝感涙の極みにてまずはこちらにて湯の一つも御供進ぜますればいざ上座にて」
 「おい。諸之進。このセンセ唐のお方か?」
 「いや、京の地の方だと聞いているが・・」
 「地の方って・・なんやら唐の言葉で話してるぞ」
 「唐語なんかじゃねぇよ。
  医道の連中ってのはどうもこういう漢語風なしゃべり様をするんだって」
 「と、言う事は諸之進サンはなんて言ってるのか判るの?」
 「まぁな」
 「やだっ、お便所コオロギの分際で生意気ーっ!」
 「誰がお便所コオロギだっ!!!」
 「で、このセンセ。いったいなんて言ってんだよ」
 「ワシが円斎だ、遠いところご苦労様です。ま、上がってお茶でもどうぞ」
 「なにー、あんだけクソ長くしゃべっておいて要するにそれだけかぃ。
  まったく医道の連中はわからんなぁ」
 「円斎先生。堅っくるしい挨拶はいいから、我々に外郎をどうしろって
  お頼み事なんすか?。簡単にお話くださいよ」
 「御意。さすればかいつまんでお話いたしましょう。
  そもそもこちらは施療の徒の為の院にはあらずして、
  散薬・外郎等を練成し、表通りの薬店の
  門前にて商いをするを主としておりまする。なかでも外郎は師匠高麗橋赤壁源衛門周庵
  よりの直伝の逸品。そもそも我が師高麗橋赤壁源衛門周庵と申すは相州小田原の産にて、
  外郎の本道を学びたる者。さて、外郎とは何か、これは元日より大晦日まで、
  手元におけば重宝たる万能薬。そもそもこの薬は今を去ること数百の余年、
  朕の国の唐人外郎という人、わが朝へ来たり帝へ参内の折この薬を深く篭め置き、
  用ゆる時は一粒ずつ冠の隙間より取り出す。依ってその名を帝より、とうちんこうと賜る。
  即ち文字には、頂き透く香いと書いて「頂透香」と申す」
 「いよっ、欄干屋っ!!」
 「歌舞伎かぁっ!!まったく。どこがかいつまんでいるんだよ。口上ばかりでぜんぜん
  話が始まらないだろうが。円斎先生、外郎の説明はいいからそいつがどうしたってんだい」
 「さて、それがでございますが・・・」

・・・あー、いいところで次に続いちゃう「燃えよ謙」。そうそう
   外郎って仁丹のご先祖様みたいなもんだよー・・・

[No.89]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:54
<志>

・・・なにやらややこしい言葉を使う外郎屋の円斎先生。
   かいつまんで説明してくれるのかなぁ・・・

 「さて、そもそもの始まりは先の月。
  木屋町の料亭『喜田邨』において二階が破裂する事件があったのはご存知であろう」
 「ご存知もなにもあれは俺が・・・ぶぎゃっ!!」
 「ん?」
 「いや、気にしないでくれ。こいつ時々発作を起こすんだ。
  そういう時はこの漬物桶で張り倒すと正気に戻ることになっている」
 「正気って・・泡を吹いてピクピク痙攣しているようだが。
  ま、よろしい。あの破裂事件のとき、実は『喜田邨』の奥座敷で
  お忍びの聞香の会がございましての、
  そこにわが盟友の蘭方医の九条北之山修山殿がご列席されておった
  ところがあの騒ぎでございまする、修山殿、
  お怪我はなかったが腰が抜けてしまって問診ができぬ。
  いたしかたなく施療院を閉じて草津に養生にいかれることとあいなった。
  そこで心配なのは施療院の中に置かれおる薬袋じゃ。貴重な渡来薬もあれば、
  素人があつかうと大変なことになる毒もござる。
  そこで某がしばし預かることにいたしたのだが・・」
 「なんだか話が見えてきたぞ、その預かった薬が無くなったってワケだな」
 「左様。それも外道の施術に使う麻酔用の阿片塊が壺ごと・・・」
 「なにぃ、阿片だとぉ。そりゃとんでもない物が盗られたじゃねぇか」
 「某も八方手を尽くして探したがとんと行方がわからん。それが・・」
 「どれが・・・べひょっ!!」
 「ん?」
 「いや、また発作だ、気にしないでくれ」
 「なにやらこめかみから噴水のごとく血を吹き上げておられるようだが・・ま、よろしい。
  あれは阿片が消えてから二週間ぐらいの事か。大宮筋で薬店をやっておる古川屋の主人が
  新に売り出されたという外郎を持ってこられた」
 「新製品がどうしたんだ」
 「いや、この外郎。その一週間ほど前からお取り扱いとの事じゃが
  飛ぶような売れ行きとのことだそうでござります。
  それはそれてお店繁盛でよろしいのじゃが、ちと客の様子がおかしいと・・」
 「おかしいというと?」
 「まるで何かに取り憑かれたのように外郎を求め、2日と置かずにまた買いに来る。
  買えば買ったで、店先で包みをといてむさぼるように口中に入れる・・・まるで」
 「まるで阿片中毒の病人のようだと」
 「左様」
 「で、その外郎を調べてみたら本当に阿片が入っていたと・・・」
 「左様」
 「ふむ・・、俺達に依頼とは」
 「なんとかその阿片外郎を作っているところを探し出し、騒ぎが大きくならないうちに
  阿片を始末してもらいたい」
 「判った、なんとか始末しよう。その代わりといっちゃあ何だがここに転がっている
  ナマモノの始末は頼んだぜ」
 「埋めればよろしいのかな、それとも焼くとか刻むとか?」
 「先生におまかせしよう」

・・・「洛中に阿片入りの外郎が出回り」なーんて大事件。こいつらで大丈夫?
   円斎先生、頼む相手を間違ったような・・・

[No.88]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:54
<伍>
・・・さてさて、円斎先生のところを出た三人。<(元気だわネ。諸之進)
   とりあえず市中の薬屋と煙草屋をのぞいて外郎を買ったりしたが、
   その阿片外郎を持ち込んだ連中がいったいどこから来たのかを知る店はなかった。
   しかたなく謙之助の家に戻ってきたのだが・・・

 「しっかし、捜せったって、広い洛中のどこをどう探すんだよ。
  こんなんじゃどうにもならんぜ」
 「うーむ・・おっ、そうだ、いい手がある」
 「よしっ、それでいこう」
 「まだ何も言ってねぇよっ!。いやね、阿片探しをウリ坊に手伝わすんだ」
 「ウリ坊って、あんなタンパク質が何の役に立つってんだよ?」
 「前に京惚れが言ってたんだ、なんでも南蛮では猪の仲間を使って西洋松露を掘るらしい」
 「どういうこった?」
 「猪の仲間は鼻が利くんだと・・」
 「で、なんですかぁ。リーちゃんに阿片の匂いを探させるってわけ?」
 「そうだ、例のもらった阿片入りの外郎をウリ坊の好物に混ぜて食べさせる。
  そしたら外郎が美味いもんだからウリ坊はもっと欲しがるだろ。そこで・・」
 「同じニオイのする阿片の隠し場所を嗅ぎ出すってわけですネ」
 「おいおい、そんな役に立つわけないだろうがあのタンパク質。
  もうちょっとマシな手を考えろよ」
 「やってみなくっちゃわからないだろ。どうせ他に手はないし」
 「わかった。その代わりなんの役にも立たなかったらあのタンパク質はやっぱ鍋にするぞ」

・・・と、言う事で翌日は円斎先生も引き連れて、リーちゃん頼りの市中散策・・・

 「でだ、こいつにひっぱられて上賀茂まで来ちまったが、
  ぜんぜん行き当たらないばかりかどんどん寂れてきたぞ」
 「いささか心配になってまいったのだか・・・」
 「だから俺はこんなタンパク質に物探しをさせるのは反対だったんだ」
 「なにを言ってる、お前だって賛成したろうが」
 「ところで、こいつの頭に結び付けてあるの桃のカンザシはいったいなんなんだ。
  さっきからすれ違う連中がくすくす笑うしヨ」
 「あら、これぐらい目立たないと見失っちゃったらこまるでしょ。
  それに、リーちゃんは女の子なんだから身だしなみです」
  <(目立つって・・市中をウリ坊に引き綱つけてうろついてるんだから
    それだけで充分目立つと思うんだけど)

・・・と、その時何かを感じたのか
   ウリ坊が一声鳴いたかと思うと激しく引き綱を引っぱった・・・

 「おっ!!なにか嗅ぎつけたかっ!!よしっ行けー、タンパク質ーっ!」
 「バカっ、行けって引き綱を離してどうすんだ爆走して行っちまったじゃあないかぁー。
  みんな、見失わないうちに追いかけるんだ」

・・・走るタンパク、追う一同。なんかこれじゃあブタレースだよ(笑)・・・

[No.87]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:53
<禄>

 「あ、いたいたあんなところ」
 「おーいっ、こっちだぁ」
 「あら、ここって深泥ヶ池じゃあないの」
 「うげっ、ウリ坊のやつ池の沼地を渡って行っちまった」
 「如何いたそう、橋は見当たらんが・・」
 「橋なんて探していたら見失っちまう・・よしっ、諸之進お前行けっ」
 「行けって沼をどうやって渡れってんだ」
 「大丈夫だ、勢いよく入っていって、右足が沈み込んでしまう前に左足を出す、
  で、その左足が沈み込む前に右足をすばやく前に出す。すると沈む前に前に進める」
 「大丈夫なのか」
 「ああ、前に京惚れのやつが南蛮の書物に書いてあったと言っていた」
 「よっしゃーっ!俺にまかせろっ!!」

・・・勢いよく沼地に飛び込む諸之進。
   が三歩も行かないうちに足を取られて沼の真ん中あたりに前のめりに倒れこんだ・・・
   (あたり前だ)
 「よしっ、足場が出来た。ウリ坊を追いかけるぞっ!!」
・・・諸之進の背中を足場に、三人は沼を飛び越えてウリ坊を追いかけて行く・・・

 「さようなら諸之進。あなたの犠牲はわすれないわ」
 「迷惑なやつだったが、いなくなってしまうと寂しいなぁ」
 「いやいや、目的の為には尊い犠牲はいたしかたない」<(勝手な連中)
 「あ、いたぞあそこだっ!!」
・・・と、ウリ坊は池のはずれの茂みに隠された小さな小屋のまわりをウロウロしていた・・

・・・ウリ坊のみつけたのは捜し求める外郎か?
   役に立つのかウリ坊のリーちゃん(立たないと思う)。
   リーちゃん、ちゃんと見つけないと猪鍋にされちゃうぞ
   しかしイノシシ頼りの捜索隊ってなんか情けないような・・・

[No.86]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:53
<質>
・・・猪鍋のかかった外郎探しもいよいよ佳境。小屋の中を調べていた謙之助達だったが・・・

 「ここは・・?」
 「どうもここが間違いなく阿片外郎の密造所のようだな・・幸いに人気も無い。
  今のうちにこんな建物は奉行所に連絡してぶっ壊そう」
・・・その時、人の気配がしたかと思うと、地獄の底からのような声が響いた・・・

 「けーんーのすけぇーっ!!!」
 「げっ、諸之進」
 「やだっ、まだ生きてるわ」
 「生きてるもクソもあるかっ!!人の事を踏み台にしやがって。」
 「いやいや、無事でよかったなぁ・・しかしスゴイねその格好」
・・・諸之進は前半分顔まで泥まみれ、ご丁寧に頭にはユリカモメの巣まで乗っけていた・・

 「あらっ、ホント諸之進様よくご無事で。その頭の巣。似合うわよ」
 「おまいら言わせておけばこのやろうっ!!覚えていろよ!!」
 「まぁまぁ、お前さんの尊い犠牲のおかけでこうやって
  阿片外郎の密造所が判ったんだ感謝するよ」
 「え・・?て事はこの掘っ立て小屋が・・・」
 「そうだ、ここで例のとんでもない外郎が作られている」
 「おおっ、でかしたタンパク質。それならさっさとこんな小屋ぶっ壊そうぜ」
 「ぶっ壊すって・・素手でどうやって壊すんだ。奉行所に行って応援を頼んでこないと」
 「そんな、応援頼みに行ってる間にここの連中が帰ってきて、
  材料もって逃げちまったらどうすんだ。そんなときにはこいつだ」
・・・と、諸之進が懐から出したのは和紙でくるんだ鞠のようなもの・・・

 「なんだそりゃ?」
 「京惚れが送ってきた、例の下瀬とかって南蛮学者の新式火薬の第2弾だ」
 「あ、お前それ隠していたのに・・これまだ試しもなにもしていないんだぞ、
  前のやつみたいにちゃんと破裂するかどうかもわからないのに」
 「大丈夫だろ。どうせ火薬だ。破裂以外の芸なんて持ってねえよ」
 「しかし、小屋の中には阿片が入ってるんだぞ」
 「火がつかなきゃ煙もでないよ。
  どーんとぶっ飛ばして深泥ヶ池の魚たちに酔ってもらおうぜっ!」
・・・と、言うが早いか導火線に火打ちの火花をちらして小屋に放り込む諸之進・・・
 「おいっ!!。いきなりやるなっ!!みんなそこらに伏せろーっ

[No.85]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:52
<鉢>

・・・その頃お江戸では京惚れが送りつけた新式火薬の使い方の手紙を書いていた・・・

 <今度の黄色火薬弾には着火薬と一緒に鉄分と蜜蝋が大量に混ぜられています。
  これに火をつけますと爆発はせずにあたり一面に広がり、
  高温の炎の海になるそうです。これを「焼夷弾」と名づけて・・・>

・・・げっ、焼夷弾だって!!おいおい京惚れも先に現物だけ送ってどうすんだ・・・

 「あれっ?」
 「あれって・・・あー、小屋の中火の海じゃねぇか。なんかパチパチ撥ねているし。
  やばいぞ、阿片に火が移る前に消さないと。そこの手桶で池の水汲んで来い」
 「謙之助様、この火、水をかけても水の上で燃えていますわ」
 「げ、なんて火だ」
 「さすがだね、これが新式火薬ってやつか」
 「感心しているばあいじゃねぇっ!!。すぐに阿片の煙が出るぞ。みんな風上に逃げろ」

[No.84]燃えよ謙(第2話) 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:51
<灸>

・・・さて、折も悪くもその日は、
   深泥ヶ池の風下の上賀茂の大社で年越しの祭礼が行われていた。
   燃え盛る炎に炙られた阿片の煙は、その祭礼の席に向かって一直線に・・・

 「では、本殿禰宜元大臣『佐々木緞帳乃担』(ささきどんちょうのかつぎ(爆))
  殿による年越しの祝詞を・・・」

 「かけまくもぉーっ かしこきぃ あまつかみほ くにつかみぃ
  やおよろずのぉーかみたち そのぅーしたがえーたまぉう
  ちいほほよろずのぉーかみたちぃー かしこみぃー かしこみぃー」
  (一同)「かしこみぃー かしこみぃー」

 「高天原に神留坐す神漏岐神漏美の詔以て皇御祖神伊邪那岐命
  賀茂位大社に生坐る祓戸の大神諸々の枉事罪穢を祓ひ賜へ清め賜へと
  申す事の由を天津神 国津神 八百万の神等共に 聞食せと 恐み恐みも申す」
  (一同)「かしこみぃー かしこみぃー むぉうすぅー」

 「鮑候更たな舌に牙ざ 歯音 唇の軽重開合 あかさたなはまやらわ
  おこそとのほもよおろ いっぺぎへぎに へぎほしはじかみ
  盆豆盆米盆ごぼう 摘み蓼 摘み豆 摘み山椒 書写山の社僧正
  小米のなま噛み 小米のなま噛み こん小米のこなま噛み
  繻子ひじゅす 繻子しゅちん 貴様の脚藩も皮脚絆 我等が脚藩も皮脚絆
  京の生鱈奈良生学鰹 お茶立ちょ 茶たちょ ちゃっと立ちょ茶立ちょ
  青竹茶せんで お茶ちゃと立ちゃ 
  ええじゃないか ええじゃないか よいよいよいよい」
  (一同)「ええじゃないか ええじゃないか よいよいよいよい」

 「ええじゃないか ええじゃないか」
  (一同)「ええじゃないか ええじゃないか」
 「ええじゃないか ええじゃないか」
  (一同)「ええじゃないか ええじゃないか よいよいよいよい」

・・・・・・・・

 「あかんっ、上賀茂の祭礼の連中。完全に阿片に酔ってしまってるっ!」
 「あぁもぅ、鉦は叩いてるし太鼓は振り回してるし、おいおい上水で泳いでるぞ」
 「・・・・」
 「・・あーっ、おサキ殿」
 「はい、なんでしょう謙之助様」
 「今回のご依頼事はなんだったっけかな?」
 「欄干橋虎屋藤右衛門円斎のお家から盗まれた麻酔用の阿片を見つけて、
  騒ぎにならないうちに処分することですわ」
 「で、阿片は見つけたし、人の目につかないうちに処理できたし」
 「阿片入りの外郎ももう出回らないし」
 「完璧だなぁ。ね、円斎センセ」
 「さ・・左様。も・・勿論でございますれば」
 「では帰っていっぱいやるかぁ。やっぱこんな夜は猪鍋でも食いたいねぇ」
 「あら、ダメですわよ。リーちゃんは今回の功労者なんですから」

・・・ええじゃないかの流れは出町柳まで達していた・・・

・・・えー、ちなみに、阿片外郎を密造していた連中は、密造所に向かう途中
   「ええじゃないか」の群集と遭遇して、あっさり踏み潰されたとの事が後に
   判明したそうです。よかったよかった。っってー、よかったの?・・・

[No.83]もうちょっと前 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:51
以前「ほんのちょっと前」と言うことで昭和の広告を御紹介しましたが、
今回は「もうちょっと前」ってことで明治・大正期り爆弾広告を・・・

 ・「護身用新型ピストル銃入荷」(金丸銃砲店)
   お店で「すみません、ピストルください」で買えた時代があったんだよネ。
 ・「喘息退治に印度製大麻煙草」(知新堂薬店)
   大麻煙草が「ぜんそくのクスリ」(笑)・・・
 ・「万国無敵煙草」(加藤商店)
   万国無敵だが、病には勝てないと思うぞ。
 ・「地球石鹸で洗え」(大阪石鹸製造所)
   地球は汚れています。今すぐ地球石鹸で・・・
 ・「頭脳の不完全なる者は馬鹿であります」(山崎帝国堂)
   このストレートなキャッチ大好きです(笑)
   問題は「馬鹿は悪い事」と決めたヒト達です。馬鹿は特性の1つなだけなのにネ。
 ・「ちぢれげ直し薬でさっぱりな頭」(帝国堂薬房)
   固形チックの宣伝。あまり「さっぱりな頭」にはなりたくないですー。
 ・「困った子供に寝小便袋」(常盤号雑貨部)
   それ、子供のほうが困るよなぁ・・・
 ・「ダイヤモンド歯磨で輝く歯茎」(平尾賛平商会)
   ダイヤモンドで磨かれたら歯が無くなる・・って歯茎ですか?。そりゃ血みどろですぜ。
 ・「御近所で楽しめる大声蓄音機」(三光堂)
   これが出るまでは蓄音機はヘッドフォンのような聴音機を耳に当てて聞くものでした
   しかし所詮はラッパ。御近所で楽しめるってのはオーバーですぜ。
 ・「新発売!君が代饅頭」
   とんでも商標の例としてよく取り上げられる風月堂が明治28年に登録したもの。
   ホントよくもまぁこんな商標が登録出来たものです。
 ・「梅毒には毒滅」(森下南陽堂)
   うーみゅストレートな・・・いやその前に、梅毒をもらうなよー。
 ・「毛の生える香油」(佐々木玄兵衛薬房)
   下さいっ!!(笑)

[No.82]「燃えよ謙」その七 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:50
 ・・・時に元禄十五年十二月十四日、京の夜風をふるわせて
    響くは下瀬式無煙火薬の破裂音。しかも一打ち二打ち三流れ・・・

 「たーまやぁーっ!!」
 「アホっ!!掛け声かけている場合かっ!!とにかく見に行こう」
・・・人だかりをかきわけて三人が『喜田邨』に行ってみると、二階の屋根が見事に吹き飛び
   障子も破れて二階は骨組みだけの状態。
   中では爆風で髪の毛が逆立った伽羅白檀之輔が呆然とした顔で
   「♪シャボン玉飛んだぁ。屋根まで飛んだぁ♪」と口ずさみ、聞香会の客人は全員
   腰をぬかしてへたり込んでいた・・・

 「・・・あー、おサキ殿。今回のご依頼はなんだったかな?」
 「はい、謙之助様。伽羅白檀之輔から騒ぎにならないうちに『櫛羅』を盗み出す事」
 「無事に・・『櫛羅』は盗み出せたし・・騒ぎにも・・・」
 「そうですわっ!!どなたもお怪我ひとつなく。悪臭も黒煙も立ち込めず・・・」
 「だよな。我々はみごとに勤めをはたしたよなっ」
 「しかし・・なんだねぇ。今夜はなんだか人手がおおいなぁ」
 「あぁ、祭りでもあったっけ。んじゃまぁ帰って祝杯でもあげるかぁ」
・・・木屋町を後ろに消えてゆく三人であった・・・
  <(ちょっとまてーっ!!それでいいのかぁーっ!!)

<「燃えよ謙」第一部終了>

[No.81]「燃えよ謙」その六 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:50
・・・その夜のことである。祇園木屋町の裏通りをひっそりと歩く黒装束の影が三つ・・・

   (ポコポコポコポコ)
 「しかし、年の瀬ともなると冷え込むなぁ。こんな夜は家で炬燵に入って
  鍋でもつつきながらゆっくりしていたいよ」
   (ポコポコポコポコ)
 「まったくだ。茶屋遊びをするわけでもないのに木屋町くんだりまで出てきてよぉ
  しっかし、なんだ。今年は人死にが多かったなぁ。まったくいい奴ほど先に逝く」
   (ポコポコポコポコ)
 「と、言う事は諸之進。お前は長生きするって事だな」
   (ポコポコポコポコ)
 「おいっ、そいつぁどういう意味だよ」
   (ポコポコポコポコ)
 「・・・・・・・」
   (ポコポコポコポコ)
 「あーっ、うっとうしいっ!!。
  おサキ殿っ!さっきからそのポコポコ鳴らしているやつはいったいなんなんですかっ。」
 「あら、謙之助様。討ち入りといえば太鼓じゃないですか。
  せっかく景気づけに打ち鳴らしているのに」
 「打ち鳴らすって・・それどう見ても法華宗の団扇太鼓に見えるのですが・・」
 「はい、そうですわ。だって道具屋さんに行って太鼓はないのって聞いたら、
  たまたま全部出払っていて、これしか残っていなかったんですもの。
  で、まぁ太鼓ならいいかって・・」
 「いいかってあなたねぇ・・・
  おかげですれ違うヒトが法華講の夜伽の行列かなんかだとおもって
  拝んでいくヒトまでいるし・・つって、諸之進。おまえその饅頭はどうしたんだ?」
 「あ、これかぁ。なんかさっきの角の家で婆さんが出てきて「ご苦労様でございます」
  とかってくれた。なかなか美味いぞ半分食うか?」
 「くれたって・・・そりゃお供えだぁ!。まったくほんとに夜伽だぜこりゃ」
   (ポコポコポコポコ)
 「えぇいっ!!おサキ殿。その太鼓はやめれと言っとるだろうがぁ!」
   (ポコポン!!)

 「ここが『喜田邨』か・・そろそろ『どすこい四十八手衆』が騒ぎを始める頃だが・・」
・・・と、その時。鴨川河原の方から相撲甚句と共に
   バシャンドシャンと大きな水音が聞こえてきた。
   『どすこい四十八手衆』の秘儀「冬の河原でドンジャラほい」が始まったらしい・・・
 「よしっ、始まった。すぐに灯りが消えて真っ暗になるぞ。
  みんな目を閉じて闇に慣らしておけ」
 「あれ、謙之助様。前が見えませんわ」
 「スカタンっ!片目だけ閉じりゃいいだろうがっ!!」
・・・その時だった、『喜田邨』の中の明かりが全て消されたと見え、
   あたりは闇につつまれた。
 「行くぞ団体っ!」
・・・闇にまぎれて店に飛び込む三人。『どすこい四十八手衆』の騒ぎを見るために床の上に
   集まっていた聞香の客達は暗闇で座敷に戻れず「あれよ。あれよ」と騒いでいる。
   星明りを頼りに聞香を準備している座敷に飛び込み。
   それとおぼしき香袋を引っつかんで階段を駆け下りる謙之助と諸之進。
   一階の水琴窟の前ではおサキがすでに抜け穴の入り口を開けて待ちかまえていた・・・
 「ふぅ、なんとかうまくいったようだな。しかし、『喜田邨』の中がいやに静かだなぁ。
  灯りもついたし、『櫛羅』がなくなっているのにいいかげん気がつきそうなもんだが・・」
 「あぁ、そいつぁ大丈夫。似たような錦の香袋を置いてきたから、
  そいつを焚くまでは気がつかねぇ」
 「ほぅ、諸之進さすがきれるじゃないか。わざわざ偽物を用意してくるなんて」
 「いや、さっきお前の家に集まったときに書卓の上に錦の香袋があったろ。
  こいつぁいいと思ってふところに放り込んできたのさ」
 「俺ん家の書宅の・・・あーっ!!それって京惚れが江戸から送ってきた下瀬とかって
  阿蘭陀学者が調合した新式の火薬が入っている・・・」
・・・チュドーン!!!・・・

・・・あーあっ、火ぃついちゃったぁ。まったくロクなことしない連中なんだから。
   と、言う事で次回で第一部はオシマイ。どんなオチになるのかなぁ・・・

[No.80]「燃えよ謙」その五 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:49
・・・幕府御香方伽羅家の当主白檀之輔殿の陰謀を知った謙之助達。
   なんかとんでもないことに巻き込まれたみたいだけど、どうするのかなぁ・・・

 「うーみゅ・・・さすがだ白檀之輔」
 「あ゛?・・・」
 「いやいや、悪人てぇのはこうじゃなくっちゃいけないよな。
  転んでもタダで起きたら貧乏人。いい事みんな俺のもの、悪い事は他人のせい」
 「まぁ、さすが謙之助様。ものの道理がわかってらっしゃる」
 「すごいね白檀之輔。そりゃ出世するよ」
   <(ちょっとまてーっ!!まったくおまいらトコトンいい根性してるなぁ!!
     普通は義侠心に燃えて怒るところだぞぉ!なんなんだぁ!!)
 「うるさいネコだなぁ。水かけるぞっ!!はいはいわかったよ・・。
  と、言う事で
  『うーむ許さんぞ白檀之輔』『そうだそうだまったくだ』『あぶくたったバケラッター』」
 「なんでござるかその棒読みのセリフは」
 「いやいや、正義の味方はそれなりに大変なんだってば・・」
 「そんで、奈良漬のオッサン。我々に頼みってのはなんなんだい?」
 「ちょっとまてー、諸之進、その「我々」ってのはなんなんだ?」
 「いいじゃねえか、面白そうな話なんだから1枚かませろよ」
 「何々?。仇討ちの討ち入りをするから手伝えってーの?キャーっ、カッコいいー」
 「あの、おサキ殿までノっちゃってどうするの」
 「・・・奈良野生学鰹之介だと言うに・・・
  いや、討ち入りなどは考えてござらん。
  我が主人の大干凡蔵助殿は殿に負けず劣らずのボンクラ・・
  もとい、慎重なお方。これ以上の騒ぎは望んではおられぬ」
 「ええーっ、討ち入りじゃあないのぉーっ!!」
 「いや、あの・・・」
 「んじゃあ、頼みってなんなんだ?」
 「実はお家は御取り潰しとなるにあたり、代々当家がお預かりしていた多くの抹香。
  これは全て伽羅家が引き継ぐことになり蔵よりあらいざらい持ちだされた。
  その中に我が抹香藩の香の中でも秘伝中の秘伝の『櫛羅』がござった」
   <(「マッコウクジラ」・・おーい作者。つまんないぞぁ)
 「で、その『櫛羅』なのだが、実はとんでもない事になっておるのじゃ。
  伽羅家の者が我が藩におとづれ、
  数々の抹香が蔵より持ちだされるのに憤られた大干凡蔵助殿のご子息酒悦殿が、
  その『櫛羅』の入った錦の巾着の中に飛騨煙硝を・・・」
 「え、そんな事したら聞香の時にとんでもない事になるじゃんか」
 「左様。いかに憤られたとはいえ、トンでもないことをあのクソガキ・・・
  いや酒悦殿はなされたのじゃ」
 「をいをぃ、破裂しただけでもあのにおいだぜ。燃やしたりしたひにゃあそこらじゅう
  黒煙は立ちこめるは、とてつもなく臭いわ、部屋のにおいなんて1ヶ月はとれねぇぞ」
 「諸之進。お前ヤに詳しいな」
 「いや、この前間違ってやっちまった」
 「凡蔵助殿もこれはいかんと思われて、伽羅家に事情を話して『櫛羅』をお返し願い、
  ちゃんとしたものを次の聞香の宴までにお渡しいたそうと考えられたのだが、
  万の悪いことに上様がその『櫛羅』を事前に聞いてみたいと申されてのぉ。で、
  今宵木屋町の料亭『喜田邨』の2階にてお忍びの聞香の会が催される」
 「では、我々に頼みとは」
 「その聞香の会が始まる前になんとかして『櫛羅』を奪い取ってもらいたいのじゃ」
 「なんとかしてって、そんなもん『ちょうだい』ってワケにゃあいかんぜ」
 「手筈は考えておる。今宵の客が集まった頃に、抹香藩の精鋭の草『どすこい四十八手衆』が
  『喜田邨』の裏の鴨川河原で騒ぎを起こす。そこに客が気を取られている隙に、
  潜入させているお女中方が店の明かりを全て落とすので。
  その闇にまぎれて『櫛羅』を盗み出していただく」
 「で、どうやって逃げる」
 「一階の内庭に水禽窟がある。蓋を取ると、抜け道があり、
  2軒隣の『丹熊』につながっているので、それを使って逃げていただく」
 「ほほぅ、抜け道とは用意周到な・・・」
 「いや、この抜け道は『喜田邨』の亭主が奥方の目を盗んで祇園に遊びに行くために
  作っていたものでの。『丹熊』のご亭主とは祇園仲間という事で・・・」
 「んまぁ、なんてこと。女の敵だわネ」
 「で、報酬は?」
 「金子1包み。それとは別に南蛮渡来の粉末シャボン。金銀パールプレゼント付き」
 「判った。引き受けよう」

・・・えー、討ち入り無いのぉー。ブツブツ。
   なんか「どすこい四十八手衆」ってオチが読めてるんだけど。
   いったい作者はどうする気なんだー。の次回に続く・・・

[No.79]「燃えよ謙」その四 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:48
えー、またまたですが、
今回のネタは北村謙サンファンサイト「◆I LOVE Mr.Ken◆」のBBSに
書き込んでおりましたネタの続きとなっております。
で、なんでそいつがはみ出してきたかといいますと「長いから」なんですねー(笑)
だもんで、これまでのあらすじにつきましては。はしょっております
ま、「ちすもバカなネタを買いとるなぁ」と言う事で・・・・

・・・さてさて、話は奈良漬けジイサン<(略すなぁ!)が現れてからしばらく後・・・
 「・・・と、言う次第でござる」
 「(一同)おおーっ、そうかぁ!!」
   <(おーいっ!!それで終わるなぁ!!横暴だぞぉ!そんなことが許されるのかー
     我々は断固として戦うぞーっ!おーっ!)
 「なにやら表でネコがうるさく騒いでおりますな・・仕方ござらん。今一度ご説明いたす。
  それがしの仕える大干凡蔵助殿が大夫を務めておられた抹香藩は主君朝野茶摘守が
  二条城城代にて御香方の伽羅白檀之輔殿に切りかかった事でご狼藉のお咎めをうけ、
  茶摘守殿は切腹。お家は御取り潰しとなり、我らは浪士として苦渋の日々を送っておる」
 「あー。知ってる知ってる。二条城で脇差振り回して天井ぶち抜いたとかってんでしょ」
 「左様。さてそもそも、今回の狼藉の発端となりましたのは」
 「あ、それも瓦版で読んだよ。スカシっ屁のなすり合いでもめたとかって・・」
 「いやあの、スカシって・・ま、そのようなものでござるが・・・
  我ら抹香藩朝野家は代々お上の所有される抹香をお預かりし、
  聞香の宴の際には御香方伽羅家のご指示により、宴に使われる香を城代に御運びする
  お役目を仰せつかっておる。
  それが先日催された聞香の宴の折、宴の最中にどこからともなく異臭がただよい、それを
  御香方伽羅家の当主白檀之輔殿が主君茶摘守に向かって放屁をしたであろうと詰め寄られ、
  身に覚えの無い主君と言い合ううちにとうとう、
  ご法度の脇差を抜かれてしまったのでござる」
 「へぇー、と言う事はスカシっ屁をしたのは茶摘守じゃないんだ」
 「もちろんでござる。主君茶摘守はウソをつけるほどのオツムは・・いやもとい
  ウソを申されるような方ではござらぬ。真っ赤な言いがかり。
  それに・・聞香の宴に同席した他家の家臣より、
  気になる話も漏れ伝わってきておりますのじゃ」
 「なんだその気になる話ってのは」
 「白檀之輔殿が放屁と言われた異臭。それが放屁というより飛騨煙硝のにおいに似ていたと」
 「なんだぁ、あのエンガチョ火薬のことかぁ」
 「あのさぁ諸之進。おまいいつまでいるんだよ」
 「だってよ、なんか面白そうじゃないか。話ぐらい聞かせろよ」
 「しかし、飛騨煙硝のにおいと言う事は・・・」
 「左様、何者かが火縄を構えて聞香の宴の客を狙っていたと・・」
 「で、風向きの加減でその煙硝のにおいがただよってきたので、
  白檀之輔殿が放屁騒ぎをおこしてごまかそうとしたら、
  アホの茶摘守が興奮しちまって思わぬ方向に・・」
 「そうあのアホ殿が・・
  いや、殿は白檀之輔殿の陰謀に巻き込まれて犠牲になられたのでござる」
 「で、細かい詮議になるとやばいので白檀之輔が手をまわして狼藉騒ぎでごまかしたと・・」
 「左様」

・・・いや、そういう展開でいいのかっ!
   赤穂浪士ファンが怒るゾの馬鹿馬鹿しい展開(笑)
   謙之助達はいかに?。で次号に続く・・・

[No.78]審判 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:48
「審判」と言うお芝居を耳にされたことがありますでしょうか?
バリー・コリンズ(原作)青井陽治(訳)の一人芝居です。

「或る一つの事件について審判を下せるのは、一つの集団だけである」
この言葉からお芝居は始まります。
第二次世界大戦中、南ポーランドの修道院の地下室に、閉じこめられたロシア将校7人の60日間のお話です。
水も食料もなく、重い鉄の扉には鍵がかけられており
6メートル上の鉄格子のはまった小さい窓からは、這い出ることも出来ず、水も食料も光もなく・・・。
閉じこめられて11日目に彼らが下した決断は、生き延びるためにくじ引きで仲間を食料として犠牲にすること・・・。
60日目に、一人生き残って助け出されたヴォホフが証言台の前に立って語り始めます。
仲間に生き延びてもらうために、自分の肉体を差し出す行為、
それを受け入れ血や肉を口にする仲間。それはすべて命を愛する儀式だと言います。
そして彼は、そこには残したい想いが存在したと言うこと、ただそれを伝えるためだけに
生きて、正気で、ここにいるということを訴えます。
二時間にわたる独り芝居は最後に、観客席に座る陪審員に「審判」を下すことを問いかけ、
幕が下ろされます。

「審判」で示されるものは「決断を迫られるとき」。
相互共存主義なんかではどうにもならないものって世の中にはあると思います。
結局、人は何かを決めないと前には進めない。
「何かを選ぶこと」とは「何かを捨てること」
捨てることを恐れて選ばない逃げが出来るのは恵まれているときだけです。

あなたが「審判」を迫られたとき。顔を上げて決断が下せますように。

[No.77]Arkansas Traveler 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:47
「Arkansas Traveler」って歌があります。
アーカンソーを旅する人が出会った面白話を交えながら、
インストルメンタルをはさんでゆくという唄なんですが。いかんせん英語なもので、
韻を含んだ言い回しや、発音が似た言葉のごろ合わせなどど言うのがあって、
いまいち面白さが伝わっていなかった唄なんですが、
最近、ちすが敬愛するミュージシャンの北村謙サンが
こいつに落語風のスキャットを入れて演奏されてうまく伝えておられます。

で、そう言うモノを耳にしたらやっぱマネをしたくなるちすの性分ですから、
 <(最低の性分だなぁ)
ちすも作ってみました「Arkansas Traveler」!!


旅人 「いゃあ、やっとアーカンソーに着いたか。疲れたなぁ。酒場で1杯呑んでくか」
村人 「そこの旅の人。昼間から酒を呑むとは不謹慎な!おやめなさい」
旅人 「ん?、おじいさん。そんな血相変えて怒らんでもいいでしょ。旅に疲れてちょっと1杯だけですから」
村人 「いいやいかん!酒と言うものは日が落ちて仕事を終えてからゆっくりと呑むものじゃ。
    そんなお天道様が出ているうちに呑むなどと言う事は許されんっ!!」
旅人 「そんなおじいさん。堅いことを言わないで、ちょっと喉を湿らす程度ですから」
村人 「いかんと言ったらいかんっ!!そもそも酒というのは・・・・」
村人2 「ごめんなさい。まったくおじいちゃんったらお酒を呑むといつもこんな風に頑固になって・・・」


村人 「そこの旅の人。ちょいとものを頼んでもよろしいかな」
旅人 「はいはいおじいさん。どうされました?」
村人 「いやな、急ぎの手紙を書こうと思ったら、急に手が痛んでのぉ。すみませんが
    わしの代わりに手紙を書いていただけませんかのぉ」
旅人 「そんな事ならおやすいご用です。どう書けばいいんですか」
村人 「それは・・・・・と書いていただければ」
旅人 「えっと・・これでいいですか。ではこれを郵便局に持っていって・・」
村人 「あ、・・・すまんが、最後に書き足してもらえますかのー。「乱筆をお許し下さい」と」


旅人 「いゃあ、やっとアーカンソーに着いたか。そこの食堂でメシでも食ってゆくか」
旅人 「・・・・
    なんだこの食堂は。ぜんぜん料理が出てこないぞ。ちょっとおじいさんっ!!
    この店では日の暮れるまで客を飢えさす気ですかぁーっ!!」
村人 「あー、いやいや大丈夫じゃ。この店は日が暮れる前には閉店しますでのぉ」

[No.76]アドレナリン 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:46
「気が入っていると風邪をひかない」・「風邪をひくのは気が抜けてたるんでいるからだ」

脳みそを根性で鍛えれるとお考えの方々がよく口にされますが、本当なんでしょうか?。

「気が入っている」
よーするにこれは神経が興奮状態にあると言う事です。
神経が興奮となると、出てくるのがアドレナリンという副腎皮質ホルモンです。
正しくはノルアドレナリンと誘導体各種ですが面倒なのでまとめてアドレナリンとしておきます。
さて、アドレナリン。これには脳の覚醒、集中、記憶、積極性を高めると言う機能の他に、
痛みを感じなくするなどのはたらきがあります。
また、血圧や心拍数を高める作用もあります。

ヒトがこのような状況の際に風邪に罹患してもそれに気づくはずはありません。
発熱による血圧や心拍数の上昇は異常状態としては認識されず、咽頭や関節の痛みはわからず、
覚醒状態が励起されているので頭はすっきり気力はばんばん・・。

で、気を入れている目的が遂げられて、「気が抜ける」
つまり血中アドレナリン値が下がったときに初めて風邪に罹患している症状を認識する。
「気がぬけてたるんているから風邪をひく」のではなく。
「気が抜けたおかげで風邪をひいていることに気がつく」んですネ。

アドレナリンの過剰分泌状態は身体機能を異常に高めているわけですから、
そんな状態が長く続くと生体機能を使い果たしてしまいます。
いいかえればアドレナリンの過剰分泌は寿命を縮めて生体機能を一気に使っていると言う事なのです。

イベントなどに風邪をおしてやってきたり、疾患を無理してやってくるヒトがいたら、
周りのヒトは「がんばってるね」なとどねぎらったり手を貸したりしてあげようとされますが、
本人はアドレナリンの過剰分泌状態にあるわけですからそんなに苦痛を感じてはいません。
血圧も心拍数も高くなっていますので元気はつらつです。
それより、「元気に見えているけど実は病原菌大繁盛状態」にあるヒトが集団のなかに現れる事。
それは気などを入れていない平常状態のヒトに対して
病原菌をばらまくことになりとっても迷惑なことなのです。

みなさん、イベントに根性出したり気を入れたりして来られているヒトを見かけたら、
決して近寄らず、できれは風上に位置し、感染の巻き添えを食らわないようにしましょう。
万が一そのようなヒトが力尽きて倒れたりしようものなら大変です。
病原菌がそのヒトのアドレナリンに打ち勝ったと言う事なんですから。
そんなときは穴をほって速やかに力尽きたヒトを放り込み、
揮発油をまんべんなくかけて火をつけましょう。
あ、せっかく気をいれて来られてるんですからその勢いでまず本人に自分用の穴をほっていただいて・・・

[No.75]飛騨の匠 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:46
えー、本件は鬼遊笑覧をリンクいただいておりますミュージシャンの北村謙サンの公式ファンサイト
「◆I LOVE Mr.Ken◆ 」に書いたネタの続きになっております。
ちなみに、「なんでミュージシャンのファンサイトでこんなネタがでるんだ」
という事につきましては深く追求なさらないでくださいませ(爆)

さて、飛騨の煙硝。

戦国期にポルトガル人が漂流にみせかけて鉄砲を売りつけに来てからわが国の火薬技術が
発展したように思われていますが、実際にはそれより百年以上前から、火薬を使った武器は
使用されています。竹筒にワラ縄を巻き、漆で固めた1回使い捨ての鉄砲のようなものまで
あったそうです。
さて、そんな火器に使われるものは黒色火薬。
黒色火薬を製造するためには煙硝(硝酸カリウム)が必要。しかし、日本には煙硝のとれる硝石はない。
ないなら作っちゃえ!!
あの、最後の「作っちゃえ!」ってさぁ・・・

でも、作っちゃうのが我らのご先祖様。
試行錯誤といてまえ主義は敗戦までの日本人の美徳です(笑)
と、言う事でなんだかんだで編み出した「土から煙硝を作る方法」ーっ!

 その1.夏の盛りに根が深く、繊維質のおおい草(ヨモギ類がいいみたい)を大量に刈りとります。
 その2.炎天下で刈り取った草を1日干します。
 その3.できるだけ風下の日あたりの悪い土地を探して、黒い土になるまで掘り下げます。
 その4.掘った土を一尺ほど穴に積んで、その上に干した草を敷き詰め、硬く踏み固めます。
 その5.その上から糞尿・古池の腐り水・魚のはらわたや鳥の死骸をきざんで腐らせたものをかけます。
 その6.またまた土を一尺ほど積んで、その上に干した草を敷き詰め、硬く踏み固めます。
 その7.またまたその上から糞尿・古池の腐り水等々をかけます。<(風下にする意味がわかりましたか)
 その8.このとんでもないサンドイッチを五段くらい積み上げ、
     雨風が当たらないよう、その上にかこうように小屋をつくります。
 その9.その後、月に一度くらい、新しい糞尿や汚水をかけつづけます。
 その10.二年ぐらい経った頃から糞尿に加えて炉の灰もふりかけます。
 
えー、この作業を続けますと3年目ぐらいから、
土の表面や小屋の内側に白い結晶状のものが張り付いてきます。
はい、こいつが待望の「煙硝」硝酸カリウムです。

え?公の掲示板で火薬の作りかたなんて書いていいのかって?
いや、これを実践するヒトがいるとはとても思えないし、実際にやっていたら癲狂院送りですって(笑)。

さて、「なんでこんなむちゃくちゃで煙硝ができるんだ」ってお思いでしょうが、
これがちゃんとした化学反応なんですよ。
糞尿の中のアンモニアと屍骸の動物性蛋白質。
こいつが干草に着いている根粒菌。硝酸バクテリアのおかげでですね。硝酸アンモニウム塩になるのです。
そんでもってそいつが発酵熱で室状態になっている小屋の中でゆっくりと酸化されて
硝酸塩になります。この硝酸塩が土の中のカルシウムと反応して硝酸カルシウムになって、
これに炉の灰汁の炭酸カリウムが反応すると硝酸カリウムができるって寸法なのです。

さて、出来上がった煙硝。もちろん不純物をばりばりにもっている状態ですので、
これを精製しなくてはなりません。
精製って?
ま、乱暴にいゃあ、水を加えてぐつぐつと煮詰め、あくを取って水を足してまた煮つめってワケです。
はい、想像だけで吐き気のした方。大正解です(笑)。
もう筆舌につくしがたい臭気だそうでして、
それまで地獄だと思っていた小屋の作業が天国に思えるそうです。

いやいや、昔のヒトは偉かったんだなぁ・・・

しかし、第一次大戦後にハーバー博士が空気から火薬を作る窒素固定法でノーベル賞をもらったんだけど、
飛騨の匠はなんとその500年以上前から「ンコから火薬を」・・・なんかきちゃない・・・

[No.74]なりたかったもの 投稿者:ともやママ 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:45
 子供の時なりたかったのもの
フラワーデザイナー(小学校の卒業文集に書いている)、もの書き、クリエーター、脚本家、詩人、女優、ハイジ、国語教師、専業主婦、そして魔女・・。
魔女になれるのは、女性の特権、男性だと別のものになります。

[No.73]料理の輪 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:45
テレビジョンで料理番組を放映しているのをなんとなく流してると妙なことが気になりました。
 「タマネギ1個は細かく刻んでサラダ油で・・・」
 「鶏肉はひと口ぐらいの大きさに切り・・・」
どうして接続語が「は」なんでしょう?
手元のお料理本のレシピを開いてみるとやはり「は」でつないであります。
ここにタマネギや鶏肉があるのは当然であると言う言い方・・・
そりゃ、料理をするのに材料を用意するのは当然なんですが、全ての材料がちゃんと
揃っているとは限りません。現にレシピなどにも鶏肉(又は豚肉赤身)とか、
生姜(練りショウガ)なとど代替品もかかれています。

「タマネギ1個又は半分の残りが2つありましたらそれを・・」とか
「鶏肉か豚肉の赤身を・・」とかでもいいワケです。
にもかかよらず、「鶏肉は」と違ってはならぬとのばかりの言い切り。
気の弱い奥様なんかでしたら、画面に2拝2拍手1拝を行って平伏し、
すぐさま豚の赤身はユダヤ教会のゴミ箱に突っ込み、
近所のスーパーマーケットに「雨の日特売キャンペーン国産トリ胸肉1枚98円」
を買いに走るかもしれません。<(安いのでもう1枚余分に買っておきましょう)
すると、ごった返すスーパーのレジの所でぶつかったのは中学生の頃にあこがれていた
テニス部の先輩。
 「あら、こんなところでお久しぶりですー」
 「おや、君こそお買い物かい。いゃあきれいになって見違えちゃったよ」
 「まぁ、先輩ったらお上手っ。もうオバサンですわよ」
 「君がオバサンだったら僕だって充分オジサンだよはっはっはっ」
 「先輩はお買い物なんですか?」
 「うん、女房がね実家の法事で帰っちゃって、侘しい自炊の週末さ」
 「まぁ、大変。あのぅ、よろしかったらこれから夕食を作るのでご一緒しませんか」
 「え、助かるけどご迷惑だろ」
 「そんなことありません。主人はいつも飲んで帰ってくるから夕食は食べないし、
  子供は塾で遅いんでいつも独りで食事をしてるんですもの」
 「こんな美人の奥さんをほったらかしにしておくなんてひどいなぁ。じゃ。遠慮なく」
なとど危険なロマンスの香りがほんわかと漂ってくる夕暮れのひと時。

いや、ここでお昼の奥様劇場をやっている場合ではない。
問題は「は」なのです。
このように危険を誘発しかねない「は」をなぜお料理のレシピでは多用しているか?
なぜ「を」ではいけないのか。
どうしてそこまで周到な準備を当然として対処できるのか。
料理のレシピにはそこまでの権限が許可されていて、逆らうものは胸にピンクの☆印の付いた
服を着せられて強制収容所に送られてしまうのか??
えぇいっ!ちすは鶏肉なんて用意しないぞぉーっ!

と・・ここまで書いたらドアをノックする音が・・・
え゛?憲兵隊っ?料理侮辱罪で逮捕するって???
いやだぁ、おまいらちすを食材にする気だなぁー。離せーっ!!

・・・ネコ肉はひと口ぐらいの大きさに切り・・・

[No.72]酒は涙か 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:44
「酒は涙か溜息か 心の憂さの捨てどころ」
って謳われていますが、実際「心の憂さの捨てどころ」ってのは見つけにくいものです。
ネットの海に言葉はあふれているけど、その言葉は決して憂さではないでしょう。
言葉をキャッチボールすることが交歓の流れである限り、流れに棹を差すような
言葉は発してはならないし、
勝手気ままに憂さをぶつけ合うようなところは、騒音にしかならない。

月と語らい、影と戯れ。独り酒を口に含み憂いを口にする楽しみ。
ふと周りを見渡すと、月と語らっている朋友の姿がある。
そんな、ネコの集会の為の空き地がたくさんあったら、
ヒトは憂いに押しつぶされる事も、
「お友達という名のお供達」を求める事もないと思います。

鬼遊笑覧は一献の酒でいたいなと思う酔いどれの憂さでした。

[No.71]酒は飲め呑め 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:43
ガッコの時
微生物学の教授が酵母菌をこよなく愛する大酒のみで、その授業たるや
酒と醤油の日々(笑)。とにかく醸造酵母に対する愛情を語り尽くす90分(笑)で1年(爆)
は、よかったのですが「伝説」とまで言われていた最終試験がありまして・・
試験用紙を埋め尽くすものは日本中の銘酒の名前。
そしてそれに別紙に書かれた酒造酵母と原料米(酒造好適米)を選んでつなぐって試験なんですね。
たとえば「加茂錦→協会9号→山田錦」って感じ。
で、百問出題されて60%正解で通過。
いゃあ、泣きました。当然ですがアタマになんて入るわきゃあないので机コンピューター
筆箱コンピューター、消しゴムコンピューター、靴底コンピューターを駆使し、
 <(専門用語でカンニングペーパーと呼ばれます(笑))
とにかく、なんとか通過しようと必死でした。
当然ながら伝説の名回答なるものも大量に生まれ、また残されていました。
「設問の酒の味を語り尽くした」もの。「酒の肴を百個列記」したもの。
「おいしい密造酒の作り方」を記したもの、「二日酔い解消法」を講じたもの・・

しかし、戦いもむなしく追試となりますと、
追試験は試験管に入れられた日本酒を睨んで嗅いで舐めての銘柄当て。もはや「利き酒チャンピオン」の世界。
それにも敗れた敗残兵は「末期の酒」と呼ばれる、教授室にてお酒の相手をしながらの口頭試問。
「呑めない奴は微生物は選択するな」と言うのが合言葉でした。それでもいい時代だったなぁ。(笑)

[No.70]街路樹 投稿者:エンドウマメ 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:43
京都の街は、沢山の街路樹が植えてあります。
知っているだけで「ふう」「イチョウ」「サルスベリ」そして「プラタナス」。
♪ プラタナスの枯葉舞う 冬の道で ♪
仕事で、京都の街を車で走っていたら、プラタナスの剪定をしていました。
昔は沢山の枯葉が、京都の街を汚していた・・・らしくて、最近は葉がミドリの内から
大胆に切り落としてしまっている・・・。 マメが小さい頃、葉っぱを踏んで遊んでいたコトを
思い出して、鼻の奥がツーンとして来ました。 なんか、可哀想でした。
♪ プラタナスの散る音に 振り返る ♪
すごい、せっかちに人間はなって来たのでしょうか?
♪ 帰っておいでよと振り返っても そこにはただ風が吹いているだけ ♪
ある様でない。 ない様である・・・。 それは虚しさ・・なんだろうか?
♪ 人は誰も恋をした切なさに 人は誰も耐え切れず振り返る ♪

そこにはただ風が・・・吹いているだけ・・なんだろうか?

[No.69]運動会・運動祭 投稿者:TAN 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:42
うちの施設の秋の行事は「運動祭」といいます。
20数年前「うちの運動会は、競い合って順位をつけるのが目的ではない。だから“会”ではなく“祭”だ。」ということで「運動祭」という名称になりました。
「知的障害を持つ園生諸君が、楽しく一日を過ごせればいい」という考えから、競技内容も工夫しています。
それでも結局は順位をつけます。
いえ、勝手についてきます。
競い合えば、そこに優劣がついて、そして、複数になれば順位がつきます。
しかし、今や多くのの小学校の運動会の理念が「順位を付けない」こと。
そして、名称は「運動会」のまま・・・。
「こども達が、競い合うこと重視にならないように」「運動能力の劣る子に、コンプレックスを感じさせないために」との配慮だそうな・・・。
そうなんでしょうか?
競い合えばいいじゃないですか。
「一番早い子と、一番遅い子が一緒に走る」んじゃ困りますが、同じような力を持った子同士が競い合って、練習を通じて何度も順位が入れ替わり、その結果が、本番の結果ならこどもたちの向上心に火がつくのではないでしょうか?
「和気藹々とのんびりと・・・」“運動祭”
「自己開発の場としての、向上心に目覚めるための」“運動会”
こんな言葉の使い分けもあって良いんではないでしょうか?

[No.68]ラヴレター to ・・・・ 投稿者:ともやママ 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:42
 金木犀の甘い香りが、風に乗ってやって来ます。
稲刈りのあとの、わらを燃やすにおいも・・
 誰に教わったわけでもなく、金木犀の香りに秋の深まりを感じ、
長くなった影は、冬の訪れを予感させます。
 貴方は、今、何を感じていますか?

 届きそうで、届かない、
そんなもどかしさを抱えた秋の夜でありました。

[No.67]古いモン 投稿者:エンドウマメ 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:41
1ヶ月に2〜3回、古本屋・中古レコード屋・古着屋めぐりをしています。
何を買うとか、何を探しているとか・・・では、無いんだけれど
チャリンコで、風を切って走っています。 川端通を南下して、御池通にさしかかったら
何かイベントをしていたので鴨川の河川敷に降りると、フリーマーケットや物産展などやってて
ステージもありました。 若い演歌の姉サマやラテンバンドが、唄ったり演奏したりされていました。
次に、若くて顔の小さな背の高いスタイル抜群な女性が出て来ました。 なんと、今年の
ミスユニバースだとか・・・。 カッコいいケド、なにか違う・・と、思ったのはマメだけでしょうか。
中古レコード屋2軒ほどハシゴして、次に古本屋行きました。 そこで・・なんと5年ほど前から
探していた「岩田健三郎/コトンと胸にとどけたい」を見つけ、跳び上がるくらい嬉しかったです。
何が書いてある・・と云うモンでもなく、ただ岩田さんが書きたいモノを書いてある本・・です。
私信通信で、版画と文が載っている・・笠木透さんを通じて、知るコトになったのですが
最初は「わたしゃ歌者」と云う変なフォークグループ・・としか知らなかった・・。
「ヘラヘラマガジン」「ピッカピカの小学生 クニ河内/絵 岩田健三郎」があるだけ・・マメが
知らないだけかも知れませんが・・。 
ブラっと入って探していたモノに出会うと、初恋の人に会ったみたいで・・嬉しいなぁ・・。

[No.66]業務連絡 投稿者:ちすもん 投稿日:2005/06/10(Fri)-14:41
御来店のお客様各位

まことに申し訳ありませんが遡ってごらんになるとおわかりかと思いますが
この鬼遊笑覧という掲示板は、掲示板の形をしていますが、
中身は長文どうぞ自己完結歓迎の雑文ノートです。
お立ちよりの方も、立ち読み自由ネタの持ち帰り自由と言う、
一般的な掲示板のお約束事を一切無視しています。

だもんでご挨拶は不要。いただきましても御返事を差し上げることは
いたしませんので御無礼を御容赦下さい。

あくまでも雑文を御寄稿いただけましたら幸いです。